初めての一人暮らし

 私は平成2年3月に大学を卒業し、同年4月から東京都中央区馬喰町に所在する会社に就職しました。会社には学生の時と同じように、杉並区の実家から通っていました。しかし、就職したら家を出るべきと考えている父親から、家を出て一人暮らしをするようにとの圧力が日増しに強くなってきました。

 その圧力に屈する形で、同年9月頃に気が乗らないまま(本当は実家で楽に暮らしたかった)、生まれて初めて不動産屋に足を運びました。実家の最寄駅が地下鉄丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅だったので、丸ノ内線沿線で探しました。当時は今と違って貸し手市場だったので、「結構良いなぁ~」と思った東高円寺の物件で、「この場で即決しないと他の人が借りちゃうよ」的な感じで不動産屋に煽られ、その時の所持金1万円を手付金として払ってしまいました。しかし家に帰ってよく考えたら嫌になり、キャンセルを入れたのですが手付けは返してくれませんでした。その事を母親に話したら、「それも勉強ね!」みたいな感じで慰め?られました。そして平成2年10月、丸ノ内線方南支線の中野富士見町にアパートを借りました。生まれて初めての一人暮らしの始まりです。